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九十九屋さんたの妖怪古今録

海難法師

海に出る妖怪のはなし その2

前回、海坊主に関するはなしをしましたが、その中のひとつが、伊豆七島に伝わる海難法師です。
これは島によっていくつか由来がありますが、その一説を。

江戸時代苛政を行った代官がいました。
人々は代官の死を願い、海が荒れるとわかっている日を選んで島々の見回りを勧めたのです。その死を確実にするために船底の栓が抜かれていたのです。船は時化た海で沈んだといいます。

 また、ある島の若者が、苛政を襲った代官を襲い殺しました。
神社の木を切っていかだを作り、海に逃亡しますが、代官の呪いか、神木を切った祟りか海は荒れます。そこで他の島にいきますが、関わりにあるのを恐れ上陸させてもらえませんでした。結局船は沈んでしまいました。

 毎年1月24日、代官か、若者。どちらかはわかりませんが、何かが訪れ、遭ったものに災厄をもたらすのです。
 海難法師はまれびとの変異と思われます。まれびとというのは『稀に来る人』、『客人(まろうど)』をさす言葉です。ここでは海の向こうの異界から人々を祝福する霊的存在をさします。信仰を失った神は零落して妖怪になるといいますが、海難法師もそうなのかもしれません。

さて、このように恐ろしい海。人々が頼ったのもまた霊なるものでした。
その名をフナダマサマといい、船の中心である帆柱に納められています。船霊様とも、船玉様とも記されるそれは船の魂とされました。災難が訪れる際や、大漁であるときは音を発してくれるといいます。実物のフナダマサマは、割合、博物館で見ることができます。多くは人形や、女の毛、二つのサイコロ、銭です。
 元来は船に乗るフナダマサマですが、時折、陸地で奉られる事もあります。
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