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九十九屋さんたの妖怪古今録

一つ目小僧の撃退法

家の中を覗かせないために

幼稚園の頃。
夕方、帰ってくると、ザルが屋外に置き去りにしてあって、家に持って入りました。その事を告げると、祖母は笑顔で、受け取ったザルを再び外に置きました。理由を尋ねても教えてはくれませんでした。
 ザル、そしてよく勝手口に飾ってあった柊。この二つが実は、一つ目小僧除けてあったのを知ったのは、祖母が亡くなって十年以上たってからでした。今日はその話を。

 前回、一つ目小僧は家の中を覗いて、記録をとったり、印をつけるといいました。家の中さえ覗かなければ大丈夫なのです。そこで鰯をからたちの枝に刺したり、柊や榊を飾りました。これは覗こうという時に目を刺して、覗けないようにする為です。続いて籠やザル。これは籠やザルを見ると、つい目を数えはじめてしまい、時間切れになってしまうそうです。

では、厄神そのものとしての一つ目小僧のお話をひとつ。
魔日というのがあります。行動すると災厄にあってしまうと言われる日。そんな魔日、山では仕事を休んで山を降りなければなりません。一人の男は山を下りようとしませんでした。一度降りれば山の仕事場に戻るのに時間がかかり、もったいないと思ったのです。夜、眠っていると、物音がしました。塩気のあるものを求めて熊でも来たかと男は、素早く起き上がります。そこにいるのは一つ目小僧でした。

「今夜の酒のさかなは何だあ」
 一つ目小僧がそういうと、男は腹に力を込めて怒鳴り返します。

「お前のまなこ玉だあ」
 驚いた一つ目小僧は逃げ出しました。
 男は夜が明けるのを待って、山を下りました。しかし、直ぐに死んでしまいました。
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