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九十九屋さんたの妖怪古今録

一つ目小僧

疫病神の手下!?一つ目小僧

ある男が、用事があって、とある武家屋敷に赴きました。部屋に通されて待っていると、十歳ほどの小僧が姿を見せます。客人がいるというのに、床の間の掛け軸を、巻き上げたり下ろしたりして遊び始めました。しばらくの間は放っておきましたが、どう見ても巻物は傷んでいくのが分かります。いい加減我慢しきれなくなり、声をかけました。すると小僧は「黙っていよ」と振り返りました。その顔には目が一つしかありませんでした。男はそのまま腰が抜けて、倒れてしまいました。その後に屋敷の者の話を聞くと、そのような怪異が年に四・五回はあるが、特に悪さはしないとのことでした。その後、男は二十日ほど寝込んでいましたが、命を失うようなことはなかったそうです。

小僧の妖怪でメジャーなものと言えば、何より一つ目小僧ではないでしょうか。
 一つ目小僧といえば、黒い袴に白い上着に下駄。そんなお寺の小坊主の目が一つ、この姿はあくまで自分のイメージですが、割合誰にでも近い姿を想像できるのではないかと。

皆さんも季節の変わり目に体調を崩しやすいことなどありませんか?
むかし、そうした事を神さまの仕業と考える風習もありました。そうした災難を持ち込む神さまを厄神と呼ばれたのです。
『この疫病神が』と良く聞きますが、それが所謂厄神のイメージです。

 そんな厄神も、ただ闇雲に禍を振りまくのではありません。実は事前に、手下を放ち、またいろいろなところで依頼して、人々の行動を見ているのです。
 その使いは誰かというと、そう、一つ目小僧なのです。

 一つ目小僧は、家を外からうかがい、帳面(人別帳)に記録をとります。そして判子を押したり、フタを張ったりして目印をつけます。ところが人々の数が多く、一つ目小僧は帳面を持ちきれません。そこで地元の神様(道祖神や境の神、産土神さま)のところに預けておきます。
 さて困ったのは地元の神様です。彼らは、氏子の事を、この世にいる間、見守る存在です。みすみす見逃すわけはありません。しかし、神様同士の付き合いもあります。そこでこういうのです。

「間違って焼いてしまった」

 一つ目小僧はそれを聞いて、ではしょうがないと、厄神のところに戻っていくのです。
 どう考えても毎年の事なので、一つ目小僧の方でも何となく察してはいるが見逃しているような気がしてなりません。
 しかし、それではまさに対応が神頼み。人の側にも対抗する手段があります。
 恐らく皆さんも一度は目にしたことあるものなのですが、それはまた次回に。
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